その理由は、戦国時代の現実とかけ離れたファンタジックな会話を、秀長が主人公だからと、一身に背負わされているからではないだろうか。それについては、追って詳しく述べるが、最初に秀吉と秀長の兄弟が、どうステップアップをするのかを見ておきたい。
天正元年(1573)8月29日、夜半に秀吉は3,000の兵を率いて、小谷城の山麓居館があった清水谷の奥の水の手口から、一挙に山上の京極丸に駆け上がり、攻め入った。そして長政の父で、ドラマでは榎木孝明が演じた久政がいる北部と、長政がいる南部に城を分断。双方が連絡を取り合えない状況をつくったうえで、まず久政を切腹させた。そのうえで翌日の9月1日、南部の本丸方面を攻めて、浅井家を滅亡させたのである。
その功を認められて、秀吉は浅井家の旧領である北近江(滋賀県北部)の3郡、12万石もの領地をあたえられた。そして、旧式の山城である小谷城を廃して、琵琶湖岸に長浜城を築いた。当時は今浜と呼ばれたその地は水陸交通の要地で、城下町を展開できる平地がふんだんにあった。そこを長浜と改称し、琵琶湖の湖水を堀に引き入れ、天守がそびえる城を築いた。だが、築城にはしばらく時間がかかったので、2年ほどは小谷城を使ったようだ。
同時に、秀長も秀吉の与力として、一定の領地をあたえられたと考えられている。
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