朝。その日は会議があって、子どもや妻よりも2時間近く早く、家を出た。 車を運転して5分とかからない頃、車道に何か落ちているのを見かけた。 黒くてサーカーボール大。動物の死骸かと思ったが、よく見るとそれは女の頭だった。じっとこちらを見るその顔には見覚えがあって、「あっ」と急ブレーキをかけて外に飛び出した時にはその頭はもうなかった。 寝ぼけているのかと思ったが、虫の知らせのような気がして家に飛んで帰った。 登校準備をしている子供たちに「今日は家を出るな」と知らせた。そしてそれから10分くらい経って家の電話が鳴る。 妻の親戚(妻の叔母)が交通事故で死んだという知らせだった。 そういえば車道に転がっていた顔はまさにその人だったように思う。 安心して子供たちを学校に行かせた。
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