あらすじ3行は難しい
以下、「The Liberty Web」からの一部転記です。
ロシアのプーチン大統領、ウクライナのヤヌコーヴィチ元大統領、ザハルチェンコ元内務大臣など、2014年のウクライナ政変にまつわる関係者に製作総指揮のオリバー・ストーンがインタビュー。
【ウクライナのNATO加盟という問題】 この映画は、17世紀以来のウクライナの歴史を紐解くところから始まる。東西の勢力に挟まれた国土は、つねに大国が角逐する戦場となってきた。民族主義運動に由来するネオナチ勢力の台頭は、2014年の「マイダン革命」に象徴される、親欧米化路線の動きとも交錯している。
オリバー・ストーン監督は、ロシアのプーチン大統領へのインタビュー場面で、NATOの東方拡大について問いかける。プーチンは、アメリカ主導の西側陣営が外敵を求めている、との見解を披露する。
そして、この映画のナレーションは、1962年のキューバ危機を引き合いに出す。「キューバが米国の裏庭であるとするならば、クリミアはロシアの玄関口にあたる」と語っている。当時のケネディ大統領は、断固としてソ連のフルシチョフ書記長と対決して、キューバの基地からミサイルを撤去させた。現在のロシアの安全保障にとっても、ウクライナのNATO入りは、喉元に突き付けられた短剣になるとの論理だ。
【「マイダン革命」の虚実】 さらに、この映画では、2014年2月の「マイダン革命」の陰影が描き出されている。当時の首都キエフのマイダン広場では、EUとの協定締結の延期に反対する、大規模デモが発生していた。この政変により、親ロ派のヤヌコビッチ大統領は、政権から追放される結果となった。多数の死傷者を発生させた、デモ隊と警官隊の衝突は、まさに市街戦さながらの様相を帯びていた。
こうした動きの舞台裏の事情としては、アメリカ政府高官の盗聴された電話の内容が提示される。ビクトリア・ヌーランド国務次官補とジェフ・パイアット駐ウクライナ米国大使は、会話のなかでウクライナ政変のシナリオを描いていたことが示唆されている。さらにヌーランドは、バイデン(当時、副大統領)とサリバン(現在、国家安全保障担当大統領補佐官)の名前にも言及していた。現在、ヌーランドは国務次官を務めているが、当時の関係者たちは、再びバイデン政権の最高幹部として当事者となっている。
他方で、ロシアに亡命したヤヌコビッチ元大統領は、オリバー・ストーンのインタビューに答えて、マイダン革命が「計画されたクーデターだった」と述べている。また、当時の米国政府との折衝で、最高位の相手は副大統領のバイデンだったと証言している。
なお、2014年の「マイダン革命」を描いた映画としては、『ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い(Winter on Fire: Ukraine's Fight for Freedom)』(2015年)が好対照となる。そこでは、デモ活動の参加者たちの証言が紹介されていく。腐敗した政権を倒した抗議活動の勝利として、映像が記録されている。ふたつの映画を観たときに、「マイダン革命」の実相は、より立体的に見えてくることだろう。
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