2018年度の八戸市魚市場特別会計の決算は、市の一般会計からの繰り入れを除くと1億5500万円の実質赤字であることが、6日までの市への取材で分かった。 このうち、稼働率が低迷する市第3魚市場荷さばき施設A棟は6658万円のマイナス。 21億円を投じて整備されたA棟は運用開始から7年連続の赤字となり、市財政の負担要因となっている。
同特別会計は9月20日に閉会した市議会定例会で承認された。 だが、審査した決算特別委員会で市は実質赤字額について言及せず、委員からも質問が出なかった。 デーリー東北新聞社が決算委終了後の13日、市水産事務所に実質赤字額の確認を求めると 「承認前に報道されると困るので議会が終わるまで対応しない」と拒み、20日の閉会日になって初めて明らかにした。
同特別会計は歳入3億338万円、歳出2億6905万円で、3433万円の黒字。 しかし、歳入には実質赤字を補填する形で市の一般会計から1億8904万円を繰り入れている。 同特別会計は水揚げが減少した1980年代後半に赤字に転落し、一般会計から1億円以上の繰り入れが常態化。 A棟が稼働した12年度以降は、同施設の分も赤字に上乗せされている。
A棟は漁船からサバをフィッシュポンプで吸い上げて水揚げする最先端の施設。 しかし使い勝手の悪さなどを要因に稼働率が低迷しており、18年度の水揚げ数量は当初計画に対し、わずか4.9%にとどまる。
市水産事務所によると、18年度のA棟の収入は142万円で、内訳は市場使用料や流動海水氷の販売など。 対して支出は6800万円で、施設管理など委託料2900万円、電気代1700万円、修繕費1200万円などが掛かっている。
運用開始から7年間の赤字は、累計で4億1758万円に上る。 運用面で毎年5千〜7千万円の赤字を出しているのに加え、16、17年度には専用タンクの購入費も掛かっている。
A棟は国に提出した17〜19年度の改善計画で水揚げ目標を達成できなければ、会計検査院から機械設備費に対する補助金5億5千万円の返還を求められる恐れがある。 現状ではクリアするのはほぼ不可能で、A棟整備を推進した小林眞市長は難しい対応を迫られそうだ。
市は現在、小中野地区の市第2魚市場跡地に荷さばき施設D棟を建設している。 水揚げ減少に歯止めが掛からない中で、新たな赤字につながることを危惧する声も強い。
https://www.daily-tohoku.news/archives/23865(デーリー東北新聞社) |